あったかごはんでとろかす『きのうのカレー』のおはなし
こんにちは。
高円寺の小杉湯の漫画コーナーで出会ってからずっと、私の大好きな漫画のひとつである深夜食堂。
深夜12時から明け方6時までのみ営業する、繁華街の片隅の小さな居酒屋。
そのカウンター越しに起こる人間模様を、1話につき1品絡めながら描かれた作品です。
深夜食堂と言うだけあって納豆ごはんや牛スジおでんなどなど、深夜の胃袋に染みる懐かしごはんばっかり出てきて、そしてその食べ方が絶妙にリアルで、私にとってはそこらの料理本よりも、俄然料理意欲を掻き立てられる一冊。
価格:802円 |
登場人物も、ヤクザとか風俗嬢とかストリッパーとかニューハーフとか繁華街のワケあり深夜族ばかりでお持ち帰りから一期一会の出会いまでどれもなかなかディープ。でもユーモラスでちょっと切なくて病みつきになるのです。
去年の今頃はドラマもやってました。
3シリーズ目になるドラマはマスター役の小林薫さんが、原作のモデルなんじゃないかってくらい見事にいい雰囲気を出していて、出演者も味のある人ばかり。(私は松重豊さん演じる、赤いタコさんウインナーが大好きなヤクザの竜さんがお気に入り。)ワケあり者たちが集うしっぽりした心地よいお店の雰囲気がうまく出ていて大好きでした。
最近はLINE漫画でも連載が始まったので、改めてちびちび読み返しているのですが
漫画1巻の第2夜、私の好きな話に「きのうのカレー」というお話があります。
出来立てのカレーより一晩置いたカレーの方が好きだってやつは結構いる。オレもまぁその口だけどね。冷蔵庫でちょっと固くなった昨日のカレーを、あったかいごはんの上にかけて…とろかしながら食べるんだ。
というセリフで始まるおはなし。
昔お母さんが作ってくれたような、なんの変哲もない市販のカレーで作る、冷たい「きのうのカレー」を食べるマスターを見たお客さんが「カレー屋にはないんだよなコレ」とか言いながら次々と「きのうのカレー」を注文し、『毎週第一火曜日はきのうのカレーの日にします 店主』という張り紙が扉に貼られるまでになる、と話は進んでいきます。
ここにも風俗嬢と、年の差40歳のおじさまの「きのうのカレー」にまつわる色恋沙汰がからんでくるのですが、それはさておき。
カレーは一晩寝かせると美味しくなる、というのは大賛成なものの、冷たいカレーをあったかいごはんでとろかして食べるというのは実はやったことが無い私。
「きのうのカレー」をとろかすというなんともまったりした言葉の響きに完全にヤラレて深夜にコトコト作ってしまいました。
一晩冷蔵庫で寝かしてホカホカごはんにかけて食べる。
んまー。
なんだか親に隠れてこっそり食べているような、不思議な背徳感もセットでおいしい。
私にとっては懐かしいというか、新しいカレーの楽しみ方でした。
懐かしのカレーって、なんですかね。
今回は冷蔵庫にひき肉が余ってたのでひき肉カレーにしたのですが、一口食べた夫の感想は「おいしい!けど俺は野菜しか入れないから自分では作ったことないなぁ」というものでした。私は牛スジやひき肉カレーがよく食卓に並んでいたのでなんの違和感もなかったのですが、新鮮新鮮!と想定と違うボールで喜んでいる夫を見て、『懐かしのカレーの味』って食べ方はもちろん、入れる具材や使うルーによって味噌汁並みに家の味が違うんだなーと改めて実感しました。
野菜カレー
牛肉カレー
ひき肉カレー
バターチキンカレー
いろいろありますが『きのうのカレー』が一番引き立つ、私のカレーの味を見つけていきたいなぁ。
以前うちでカレーを作ってくれた、カレーが好き過ぎて海外までカレーを追い求めに行くカレー王子は、アボガドやココナッツを入れためちゃめちゃおいしいスペシャルカレーを粉末から作っていたけどアレが家のカレーになったら覚えるの大変そうだなぁ、などと人のカレーの味を思い出してみたり。
カレーってすごいと思うよ。人が食ってるの見るとなんか食いたくなるもんなぁ…
By 深夜食堂マスター
こんなことを書いていたらどうにも見たくなったので、借りてきちゃいました。
映画版、深夜食堂。
価格:3,990円 |
開始数分で、竜ちゃん、忠さん、マリリン、小寿々さんなどおなじみのメンツがどんどん出てきておもわずにやにや。1年ぶりだなぁ。出演者も豪華です。
ちょうど時間も深夜3時。
今夜は、昨日解禁になったボジョレーと
清瀬の山でもらった銀杏をつまみながら
深夜食堂、開店。
ほろ酔いでおいしい物語をたのしみます。
ではではー◎