焼き物の街、常滑でふれた愛のおはなし。
こんにちは。
お久しぶりです、みやべえです。
最近なんだか別媒体での温泉・銭湯周りの記事を書くことに日々追われていたので、少しお休みのつもりで今日訪れた愛知県の常滑のおはなしです。
古くから焼き物の街として知られる常滑。初めて降り立ったんですが、まねき猫の発祥の地でもあるんですね。駅前から少し歩いただけで、まねき猫だらけ。
金運を運ぶ猫や
武芸のまねき猫とか
子供がすくすく育ちますようにとか
母性のまねき猫とか、とにかくいろんなことを願った猫がたくさん壁に埋まっています。
それぞれテイストはバラバラなんだけど、心がこもっててクオリティが高いので見ていて楽しい。
まねき猫の壁を辿った常滑駅からすぐのところに、やきもの散歩道という昔ながらの街並みをめぐる、路地好きにはたまらん区域があります。
道にも壁にも家にも焼き物が混ざりこんだ街並み。
観光区域だけどちゃんと人が住んでるあたり、文化というか、ここに住む人の生活に焼き物が溶け込んでいるのがわかります。
そんな散歩道を、地図も見ずにふらふらとたどり着いた煙突屋という工房。
そこで頂いた"ふところもち"という常滑のお餅がものすごく美味しかった。
ほんのり甘くて、素朴で優しい味。
焼くと3倍美味いというので焼いてもらい、そのまま話が弾んだ50歳半ばほどのオーナーにお茶を頂きながら、あれこれ常滑の話を聞かせてもらいました。
戦後は土管とか大物をたくさん作っていたから多い時は300本もの長い煙突が並んで釜も大きくて活気があったけど、いまは煙突は使われないから短く切って保存してるの、とか。
茶香炉ってゆー緑茶で炊くお香は常滑が発祥なの、とか。
そんなことを色々話しているなかで見せてくれた【踊る煙突】と題された絵。
煙突がうねうねしながらライブしている。
「もう12年にもなるかしらね。お父さん(旦那さん)が亡くなる2ヶ月前にあれを完成させて逝っちゃったの。」
言われてみると店内には杉江南峰という旦那さんが描いたらしき絵がたくさん飾られている。
煙突のある町並みを描いたところは一緒だけど、どちらかというときっちりした風景画ばかりで踊る煙突のテイストとは全然違う。
「なんだか他の絵とテンション全然違いますね」というと、「もともとファンキーな人だったから。最後だけなぜか、若い時のテイストに戻ったのね」と若い時の絵も見せてくれた。確かに色鮮やかな抽象画っぽいものばかり。
「この街が好きで、小さい頃からずーっと煙突を描き続けた人だったのよ」と目を細めて絵を見るオーナーからは12年経った今でも旦那さんへの愛が溢れていました。
煙突のある街並みを見続けてきた彼の目には、この街はこんな風に映ってたんだろう。どちらにせよ、幸せで楽しい人生の最後だったんだろうな。
頂いた絵はがきは、帰ったら大切におうちに飾ろうと思います。
続きはまた次回。
おやすみなさいー。