ふろふき大根の夜
おふくろ大根という野菜があります。
白くてむっちりした大根足という言葉を彷彿とさせるフォルム。ぼさぼさに伸ばした髪のような葉。
まさか大根足からおふくろを連想したなどという全国のおふくろを敵に回す恐ろしい由来ではないと思いますが、お世辞にもモデル体型とは言い難い野菜です。
阿佐ヶ谷駅前には野菜や果物の小さなマーケットが来ることが多く、この日は杉並区で取れた杉並野菜のマーケットに人だかりができていました。わけぎや金時にんじんなどちょっと変わった野菜もずらり。
煮物にしたいんだけどどれがいいですかね?
と聞いて勧められたのがこのおふくろ大根。
一緒に並んでいる他の大根よりもふたまわりほど大きいおふくろ大根は、ぼてっとして可愛くていかにも煮物にしたらぎゅんぎゅん味がしみ込みそう。
「若い人はおふくろ大根でも持って帰るのが辛くなくていいねぇ」とふくろに詰めるおじいちゃんに褒められ(?)ながら連れて帰りました。確かに小さなおばあちゃんなら抱えるサイズだなー。
今日は冷えるからふろふき大根にしよう。あったかくてほくほくの、お箸を入れたらすーっと切り口が溶けるようなふろふき大根がたべたい。
帰って早速解体作業。
大きいので葉を切り落としして半分に割るだけでも解体という言葉が一番近い。
普通の大根と比べるとかなりの差。
ちょっと長めのマニキュアよりも大きい。
大根は米のとぎ汁で煮込むと柔らかくなるのでまずはお米炊くついでにことこと。柔らかくなったらとぎ汁を捨てて、昆布とお出汁と少しだけのお醤油でまたことこと。あとはお味噌と砂糖とお酒とみりんを熱したタレににゆず塩で香りをつけて。
できたー٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
大根の葉っぱも大量にあるのでザクザク切って鰹節とお醤油で炒めます。
だいこんづくしの冬の食卓。
ふろふき大根や煮物はよくお母さんが作ってくれた味。
そうか、煮物はおふくろの味だからおふくろ大根なのかなぁ。大根足よりよほどあったかくていい。
また恋しくなったらおふくろ大根探そうと思います。
ではでは。